ミシマガ野球部

第30回

プロ野球の球団名、下の名前で呼ぶか? 上の名前で呼ぶか?〈ミシマ社・須賀紘也〉

2026.01.26更新

 こんにちは。営業チームのスガです。
 ミシマガ野球部、4年目に突入しました。本年もよろしくお願いいたします。
 いきなり自分の話を始めて恐縮ですが、営業としてまだまだ半人前の私・スガ。プロ野球ではベテランの域に入りかける32歳になるこの年を、遅咲きの飛躍の一年としていけるようにしてまいります。そのために、自分を一新していく所存です。
 自分を一新するにはどうするか? 『上を向いてアルコール』に登場するエピソードで、小田嶋隆さんはアルコール中毒から脱するために生活や考え方を一変し、その中でスポーツ観戦の対象を野球からサッカーにシフトした、という話があります。私はミシマガ野球部の一員として野球を捨てるわけには行かないので、せめて中日ファンから他のチームを応援するのもありかなどと考えています。私が尊敬する野球人である広池浩司さん(現役時代のエピソードをミシマガで書いております)が、西武のチーム編成の責任者となり、DeNAから桑原将志、日本ハムから石井一成を獲得と積極補強に成功し、このストーブリーグ期間にその名前を見ることが多くなってます。広池さんを追いかけて西武を応援しようかな、でも結局中日なんだろうな。スパッと切り替えた小田嶋さんはすごいな、などと思いを巡らしてキャンプも始まっていないこの時期をつぶしております。

 自分を一新するなかで、成し遂げたいと心の底から思っているのが、日々自然体で生きられるようになりたい。そうして、自然体にしゃべれるようになりたい。仕事で営業をしているときは仕事中はもちろん(?)、日々知り合いと話す中でも、「もっと力まずに話せたらなぁ」「目が泳いでるなぁ」と自覚してしまうことが多いです。
 その中で直面するのが、同じぐらいの歳の人に対して「敬語で話すかタメ口で話すか」問題と、「上の名前(名字)で呼ぶか、下の名前で呼ぶか」問題。特に私は人を下の名前で呼ぶのが苦手です。「そんなに仲良くもないのに、馴れ馴れしく話しかけてくんなよ」と思われないかという恐怖がその大部分を占めてますが、どこかに「下の名前で呼ぶのは子どもっぽくてあんまり好きじゃない」という個人的な趣味の部分もあるのです。でも、自分以外みんな下の名前やニックネームで呼び合っている場にいることになったりすると、「自分にもう少し勇気があれば」と思わずにはいられません。本当はフランクに話せるようになりたいのです。
 ということで、今回のテーマは名前です。

 プロ野球のチーム名も「親会社」である企業名を名字、「竜みたいに強くなってほしい」という願いをこめてつけられた愛称を名前と考えてみたいと思います。みなさま、普段どっちで呼んでますか?
 私はここでも愛称で呼ぶことに抵抗があります。ドラゴンズではなく中日と呼びたい。タイガースではなく阪神。知り合いを下の名前で呼ぶことに抵抗があるのとまったく同じです。まして動物の名前なんて、大男をたくさん集めといて幼稚園のクラス名じゃあるまいし(怒った人がいたらすみません、ちなみに私は年長の頃ライオン組でした)。あとは、どこかにプロ野球を存続してくれている企業の上層部に大して、球団を持つことの広告効果をアピールしたいという思いもあります。「ほら、ここに一人、中日って発言している人がいるよ」と。まあ届くわけないんですが。

 ここで、普段ファンは球団名をどのように呼んでいるか、応援歌から見ていきたいと思います。試合中流れる応援歌は大きくわけてふたつ。野手がレギュラークラスになると、打席に立っているときの応援歌(個人応援歌)ができます。また、チャンスになるとどの選手かは関係なく流れる応援歌(チャンステーマ)があります。
 個人応援歌には球団名は上も下もほぼ登場しません。2025年の中日の個人応援歌20曲には「中日」も「ドラゴンズ」も登場せず、「龍」が土田龍空に(たぶん下の名前に出てくるから使っている)と、上林誠知に「竜」が使われているのみです。

上林選手の応援歌

 チャンステーマの方は何曲かに「ドラゴンズ」が登場します。ここで気になるのが、「〇〇倒せ ドラゴンズ」と、相手チームを呼ぶときだけ、阪神とかヤクルトとか企業名を使います。字数的に短い方が歌いやすいのでしょうが、結果的に敵対するときだけ企業名で呼ぶことに。私がもしヤクルトの社長だったら嫌だと思うに違いありません。

チャンステーマ

 海峡を超えて韓国野球を見ると、韓国の個人応援歌にはほぼ必ず企業名が登場し、逆に愛称はめったに登場しません。
 私が応援しているロッテジャイアンツの若きスター、ユン・ドンヒ選手の応援歌がこちら。

롯데의(ロッテの) 윤동희(ユンドンヒ) 쌔리라(飛ばせ) 안타(ヒット) 쌔리라(飛ばせ)
최강 롯데 자이언츠(最強 ロッテ ジャイアンツ) 윤동희(ユンドンヒ)

ユン・ドンヒ選手の応援歌〈キャラクターは左がウィンジ、右がヌリ(千葉ロッテの「マーくん」とは別人)〉

 いきなり「ロッテの」ではじまります。そして「최강 롯데」 、「최강」は「チェガン」と読み「最強」という意味です。「최강+球団名」は韓国の応援歌でよくある表現で、サムソンライオンズなら「최강삼성」(チェガンサムソン)、斗山(トゥサン)ベアーズなら「최강두산」(チェガントゥサン)。LGツインズだけ例外で「무적 LG」(ムジョクLG→無敵LG)。ジャイアントとかライオンとか強そうな愛称を使わない代わりに、親会社名をダイレクトに強化しています。これはロッテの社長も嬉しいでしょうね。弊社も「最高ミシマ社」とか「面白ミシマ社」とか新しい呼び方を作ってもいいかもしれません。
 日本と韓国の呼び方の違いは、スタンドで応援をリードする応援団の性質の違いによるものではないかと推理しています。日本の応援団は、球団とは関係がないファンによる非営利の私設応援団です。対して韓国の応援団は芸能事務所に所属しているプロの人たちで、事務所と球団間の契約によって応援しています。だから、韓国のチアリーダーは今年と前年で応援しているチームが違う、という現象がよくあって、そんなのアリなのかと戸惑うことがしょっちゅう。お金が絡んでいるから企業名で呼んでいる・・・、というのは私の偏見でしょうか。それがたまたま私にはハマっているわけですが。人を下の名前で呼ぶのが苦手なプロ野球ファンのみなさま、韓国野球に注目するという手がありますよ!

 でも今年は自然体でフランクに話すことが目標なので、チーム名も下の名前で呼べるようにならなくては。そんな私が例外的に愛称で呼んでいる球団があります。それが「巨人」です。読売でもジャイアンツでもなく巨人。テレビ番組や新聞の順位表でも、「阪神」「楽天」と企業名(もしくは「広島」)で書かれるなか、巨人だけが下の名前で書かれている。そんな例外が許されているのは、巨人がプロ野球にとって特別な球団であることの一つの証明であると思います。
 「巨人」のように漢字にすれば愛称で呼べるかも。ドラゴンズではなく「竜」。ライオンズではなく「獅子」。ベイスターズではなく「湾岸星」。なんだか第二次世界大戦下でストライクが「よし一本」だった時代か、台湾のプロ野球みたいになってしまいますが。そして、「わんがんぼしが〜」なんて言い出したら、今まで以上に話の輪から浮いてしまうでしょうね・・・。私の人見知りゆえに起こるコミュニケーションのミスって、こんなふうに無理してフランクにしようとするから起きているのかも。本来全然別物であるフランクと自然体をちゃんと切り分けて考えるところから始めてみようと思います。

ミシマガ野球部
(みしまがやきゅうぶ)

編集部からのお知らせ

ミシマ社サポーターを募集しています

 ただいまミシマ社では、2026年度の出版活動を応援してくださる「ミシマ社サポーター」を募集しています。
 サポーター制度は、「ちいさな総合出版社」として一冊入魂の出版活動を続けるための制度です。皆さまからいただいたご支援は、本をつくり、読者に届ける活動を通して循環していきます。

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 一年間、ミシマ社の出版活動をサポートいただきます。年度ごとの更新で、サポート期間中はミシマ社から毎月ささやかな贈り物(下記参照)をお届けいたします。

【サポート期間】2026年4月1日~2027年3月31日

【サポーターの種類と特典】下記の三種類からお選びください。特典は、2026年4月より毎月に分けて、一年間お届けいたします。(特典の内容は変更になる場合もございます)。

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 2025年度は、サポーターさんとミシマ社メンバーが直接交流する「サポーターDAY」を開催し、特別な時間となりました。当日の模様を、新人のニシカワがミシマガでレポートしております!

 詳細・お申込みについては、下記をご覧くださいませ。
 来年度はミシマ社創業20周年の年でもあります。サポーター制度を通して、多くの読者の方々とお会いできることを心より楽しみにしております。

詳細・お申込み

ミシマ社ラジオで忘年会の様子をお届けしています!

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 ミシマ社のポッドキャスト「ミシマ社ラジオ」。第30回「ミシマ社京都オフィス全員集合!」を公開しました。2025年最後のエピソードということで、京都メンバーの忘年会の様子をお届けします。
 今年3月入社の営業ニシカワをゲストにいろいろとお話を聞く予定が、フジモト家の寸劇がはじまったり、なんだかいつもとちがう雰囲気に・・・。
 新刊『ちゃぶ台14 特集:お金、闇夜で元気にまわる』の話もしっかりしております。本誌の制作を通して、ミシマがウィー東城店の佐藤友則さんから学んだ「引き算の経済」とは?

聴きにいく

ミシマ社の本屋さん、久しぶりに限定オープン!

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 出版社・ミシマ社が運営する京都オフィス併設の小さな本屋「ミシマ社の本屋さん」は、2020年4月より休業、2022年7月をもって営業を終了していました。このたび、およそ3年半ぶりに実店舗での営業をします! ぜひお立ち寄りください。

日程:2026年1月30日(金)
時間:13:00〜18:00
住所:〒602-0861 京都市上京区新烏丸頭町164-3

ご利用可能なお支払い方法:現金のみ
駐車・駐輪について:自転車は駐輪スペースがございます。お車は、近隣のコインパーキングをご利用ください。
お問い合わせ:075-746-3438(ミシマ社京都オフィス、平日10:00〜18:00)

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