第24回
ゆけゆけそれゆけ巨人ファン
2025.05.26更新
こんにちは。ミシマ社営業チームの須賀です。
我が中日ドラゴンズ、現在借金5で5位です。松樟太郎先生が話されるところの、「開幕前は借金がなくてよかった」状態ですが、この5月、同一カード3連敗がないのがいいです。この5月に組まれた三連戦(対DeNA×2、広島、巨人、阪神の計5カード)、すべて1勝2敗です。連敗スタートでも、チームスローガンに「どらポジ」を掲げる井上一樹監督のポジティブさも後押ししてか、1勝はなんとかもぎ取る。名著『一勝二敗の勝者論』を書かれた元ヤクルト監督の関根潤三さんのように、黄金期の礎を築いていただきたいです。(ちなみに、長谷川晶一さんがこの本について関根監督に取材したときの話が書かれた文春野球の記事がおもしろいです)
と、早速中日の話をしていますが、実が私は本日、広島県におります。明日から始まる、「ちゃぶ台まつり」の設営で、庄原市のウィー東城店におります。
広島県といえば、ミシマガ野球部的にはもちろんカープです。ウィー東城店の佐藤友則店長が書かれた本の装画も、カープの野球帽をかぶった少年が描かれています。
私は中日ファンだし、今は広島にいるし、なんなら横浜出身なんですが、私は「巨人ファン応援宣言」をしたいと思います。
そもそも、私はいわゆる「アンチ巨人」であったハズなのです。しかし、最近そうでもなくなってきました。もともと私がひねくれ者であるがゆえに、まわりにたくさんいる巨人ファンががっかりするところを見たくてアンチ巨人をやっていました。でも、最近だんだんまわりに巨人ファンがいなくなってきているんです。とくに横浜市の状況の変化が激しい・・・。
いまは連日席が埋まっている横浜スタジアム、私が小学生だった20年ほど前ははガラガラでした。巨人戦(あと阪神戦も)レフトスタンドの方が席が埋まっていることが多かったです。私が入っていた少年野球チームの同級生たちは、中日ファンの私を除いてみんな巨人ファンでした。これはアンチ巨人をしているかいがあったというものです。
しかし、先日久しぶりにあった少年野球のコーチに聞いたところ、今の野球少年たちはほとんど横浜ファン。2015年に県内の72万人の子どもたちに帽子をプレゼントするなど、親会社DeNAが積極的な営業努力が実を結んでいるようです。そして、こともあろうに当時の巨人ファンだった同級生たちが横浜ファンに転向している・・・。
アンチ巨人は、巨人ファンが多数だからこそ、「こちとら反体制でいっ!」で成り立っていた。中日×巨人戦で勝てば「ひとり勝ち」、負ければ「ひとり負け」のヒリヒリ感もありました。
しかし、巨人戦の地上波放送の終了、パ・リーグの交流戦&日本シリーズの圧勝続きなどで、WBCなどで興味をもった新しい野球ファンが、他球団のファンになることが多くなっていると思われます。
最近になって、球場で巨人の球団歌『闘魂込めて』の下品な替え歌がいろいろなチームのファンによって歌われているのがニュースになっています。オールスターゲームでは、巨人以外のさまざまチームのファンの一部が声を揃えて歌っていたようです。これも要するに、巨人ファンがかつての規模ではなくなった今なら徒党を組んで袋叩きにできる判断した者たちによる、反体制でも何でもない陰湿な行為なんじゃないかと思います。「巨人には何を言っても許される」というムードを利用した、いじめが生まれる構造に近いのではないか。少なくとも巨人が「球界の盟主」だったころのアンチ巨人とは意味合いも違うし、だからこそこのような低レベルなことが起きてしまう。
1983年から書かれた、村上龍の短編集『走れ!タカハシ』で、球場でビール売りのバイトをする高校生にこんな台詞がある。
カープファンは下品だ。ジャイアンツファンは助平で、タイガースファンは低能で、ドラゴンズファンは無能で、スワローズファンは変態で、ホエールズファンは病気だ。プロ野球は嫌いだ。こんなスポーツは地球上から消滅すればいいと思う。
村上 龍. 走れ!タカハシ (村上龍電子本製作所) .
今のご時世、属性で人を判断するのは憚られますが、その人がどのチームのファンかというのは、やっぱりその人の人格につながりがあると思ってしまいます。
これは個人的な話ですが、私のまわりに今も巨人ファンを続けている人は、天真爛漫で大らかな人が多いです。
地上波中継がなくなったとはいえ、スポーツ新聞やスポーツニュースで巨人が取り上げられることが多い中、それを「ケッ、チヤホヤされやがって」と思わずに応援できる人は、やっぱり素直な人が多いんじゃないかなと、ひねくれ者としてはちょっとうらやましく思います。だから巨人ファンには、そのままのあなたでいてもらいたいのです。