ミシマガ野球部

第34回

ワールドカップの今こそ味わいたい「野球エジプト起源説」

2026.06.25更新

チュニドラではなくチュニジア

ミシマガ野球部に投稿しておいてなんですが、今は正直、野球よりサッカーですよね。
先週の日曜日はちょうど横浜にある日産スタジアムで日本対チュニジアのパブリックビューイングが行われていました。
一方、横浜スタジアムでは横浜対阪神のナイターが行われていました。私はちょうど別件で夜の9時過ぎにこのあたりを通ったのですが、目が死んでいるベイスターズファンと浮かれた阪神ファン、そしてもっと浮かれたサッカーファンで菊名駅はカオスでした。

私もミーハーなので日本対チュニジアの試合はフェイスペインティングをして(嘘)観たのですが、チュニジアに「ハンニバル・メイブリ」という選手がいて「おお」と思いました。
ハンニバルといえば、フェニキア人国家カルタゴの将軍として古代ローマ帝国を苦しめたあの名将の名前。カルタゴは現在のチュニジアにあったんですよね。
ワールドカップに古代の風が吹いた瞬間でした。

で、唐突に思い出したのです。
「野球エジプト起源説」を。

一子相伝の奥義、その名は「野球」

「野球エジプト起源説」
その名の通り、「野球の起源はエジプトである」という説です。
簡単に言えば、
・古代メソポタミアではボールを太陽に見立てた「太陽を奪い合うゲーム」があった
・エジプトではそれが、王が王笏でボールを打ち、その軌道で豊穣を占う儀式になった
・エジプトのハトホル神殿にはボールを打つ王の壁画が残っている
・それがヨーロッパに伝わって野球になった
というもの。

いろいろとツッコミどころはありますが、まず、「ヨーロッパに伝わるまでの2000年のブランクはなんなのか」という話です。
野球の起源は普通、18世紀のイギリスで始まったスポーツがアメリカに渡り、それがルール化されたもの、などと説明されます。

古代エジプトがローマに占領されたのは紀元前1世紀。仮にエジプト野球がイギリスに伝わったとして、それまでエジプト原産の野球はどこに潜んでいたのか。
「北斗の拳」みたいに一子相伝の秘術として細々と伝わってたんでしょうか

コプト語の奇跡と兄弟喧嘩

実はエジプトには「コプト語」という言語があります。
これは古代エジプト語が、ローマ、そしてその後はアラビア語の流入する中で影響を受けながらも、現代まで生き残った言語です。古代エジプト人たちが使っていた言語の末裔だと考えると、なんだか感動します。

で、それと同じように野球も守り通したと考えれば、スジは通ります(通るか?)。

ひょっとするとその過程では、ケンシロウとジャギのように、野球の技術をめぐって争った兄弟がいたかもしれません。
「DHなど絶対に認めぬ!」
「時代に逆行する愚か者めが」
みたいな。
この2000年間、どれだけの血が流されてきたことでしょう。知らんけど。

幕府やべーから、野球でも持ち帰るか!

さらに私は、「江戸時代の日本人がエジプトから直接、野球を持ち帰った」という説を見かけたこともあります。
教科書にも載っている有名な写真がありますよね。江戸時代の武士たちがスフィンクスの前で記念撮影をしているやつです。
彼らが野球を持ち帰ったと、そういう話です。

ちなみに彼ら武士たちの正式名称は、
横浜鎖港談判使節団
というものです。

当時、開港したばかりの横浜に対して、尊王攘夷派の圧力が強くなったことから、「やっぱり横浜の開港、ナシにしてください」と交渉するために幕府から派遣された使節です。
しかし、当の本人たちも「無理ゲー」と思っていたらしく、最初からいわば国内のガス抜きのために派遣されたようなところもあったようです。まさにダブルバインド。
団長の池田長発自身も、「また鎖国に戻るのは日本のためにならない」と考えていたようで、結局、パリまで行って交渉はするものの、早々に切り上げて帰国。
このエジプトでの滞在はその往路のものだったそうです。

そんな気が重い役割を担った池田がエジプトで野球と出会い、「お、これ面白そうだから持ち帰ろうぜ」となるわけがない。

いやまぁ、重い役目からの現実逃避だったのかもしれませんが、だとしても当時すでに一子相伝の謎の秘術(推定)だった野球とどこで出会ったのか。カイロの下町をブラブラ歩いていたら、謎の老人から怪しい店にいざなわれた、とかでしょうか。

着物に刀ぶら下げた人たちがカイロの下町歩いてたら、それだけで大騒ぎでしょうけど。

「古豪」にもほどがある

私も以前、エジプトに行ったことがありますが、ハトホル神殿にはそれらしき壁画は見当たりませんでした。というか、杖を持った王と太陽(ラー)のシンボルなんてそこら中にありましたから、どれもその気になれば野球に見えたでしょう。

カイロの下町でも、ヒエログリフの書かれた怪しいパピルスは売りつけられましたが、野球の秘術を伝える怪しい店には出くわしませんでした。

もちろん、野球エジプト起源説を真面目に信じている人もいないでしょうが、私は心情的には信じたいです。

古代エジプト人たちがフルスイングで豪快な空振りをして「未完の長距離砲」と揶揄されたり、当てるだけの打撃をしてベテラン解説者に苦言を呈されたり、代打で出てきてバントを失敗したりしていたとしたら、なんだか面白いじゃないですか。

ちなみにサッカーワールドカップにはエジプト代表も出場しており、先日、歴史的な一勝を挙げました。
エジプト代表にはぜひWBCにも出てもらい、古豪として名を馳せて欲しいと思います。こんな古豪が現れたら、浪商とか松商学園すら新興勢力になってしまいそうですが。

ミシマガ野球部
(みしまがやきゅうぶ)

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