復活!ミシマガジン

第25回

特集:小田嶋隆さんの本を読みたい週末

2023.06.25更新

 こんにちは。ミシマガ編集部です。
 コラムニストの小田嶋隆さんが亡くなられて、昨日でちょうど1年が経ちました。
 亡くなられてから、『隣町珈琲の本 mal"(マル)03 特集 追悼 小田嶋隆』を読んだり、他の出版社の担当編集の方の思い出話をうかがったりすることで、これまで知らなかった小田嶋さん、それでもやっぱり小田嶋さんらしい小田嶋さんに触れることが増え、遠くに行かれたという実感があまりないままこの1年を過ごしました。

 昨年8月末に、ミシマ社から発刊した小田嶋さんの遺稿集『小田嶋隆のコラムの向こう側』も、そうやって、これまで知らなかった、けれど小田嶋さんらしい小田嶋さんに、触れていただくことができる一冊です。
 今日は、本書の巻頭に「まえがきに代えて」として掲載したミシマ社の三島の文章と、目次、そして生前の小田嶋さんがコラムについて語られた音声をアップした昨年の記事を、あらためて掲載いたします。

 この週末、ぜひ本書や、『小田嶋隆のコラム道』『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白』『小田嶋隆のコラムの切り口』をお手にとっていただけたら、嬉しいです。


0625-1.jpg

『小田嶋隆のコラムの向こう側』
まえがきに代えて

 本書は、さる二〇二二年六月二十四日にお亡くなりになった小田嶋隆さんの遺稿コラム集です。遺稿集とはいえ、小田嶋さんの生前より進めていた企画です。
 五月末、小田嶋さんから電話があり、「医者は、夏を迎えられないかもしれない、とか言ってるんです」と軽やかにおっしゃいました。その際、『小田嶋隆のコラムの切り口』 の編集を「とても気に入っており、ああいう編集でもう一冊まとめてほしい」とご希望いただきました。思えば、小田嶋さんのほうから企画の提案をもらうのは長いつき合いの中で、初めてのことでした。それで急きょ、進めることになりました。
 六月二十日にご自宅へお見舞いにうかがったとき、小田嶋さん自ら、本書のタイトル案を述べられ、その場で、『小田嶋隆のコラムの向こう側』に決まりました。「コラムの逆回天」という案も出されたのですが、それは第2章の章タイトルに使っております。『コラムの切り口』は紙媒体に掲載されたコラムを中心にまとめたのに対し、本書は、すべてウェブ媒体(小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」)に載ったもので編集しました。その意味で、『コラムの切り口』の姉妹編のような位置づけの一冊でもあるはずです。
 二〇二〇年三月、紙とウェブ媒体で書く文章の違いについて、小田嶋さんご本人が語った音源が残っておりましたので、ここに掲載いたします。

「紙媒体のコラムのほうが、完成品をお届けするという感覚です。ウェブ媒体(で書くコラム)は、よくDVDなんかでメイキング、NG集などを収録してまとめて売るでしょ、そういうのに近いんです。完成度は下がるけど、多様な読み方ができる。コラムの生成過程から書いてあるのがウェブ媒体のコラムです」「(ウェブに書くコラムは)今回はこういうことを書くぞ、と決めてから書く。今回はこんなこと書くから聞いてね、こういう気分で今回は書きます、と前説からはじまり、芝居で言えばト書きにあたる部分まで書いている。紙媒体だと、いきなり本題から入って、無駄な行数は使いませんよね」

「コラムの向こう側。ちょっとかっこつけすぎかな」
 病床でも、絶えずユーモアあふれる言葉で私たちを楽しませてくれた小田嶋さん。最後の最後まで本当にありがとうございました。心からご冥福をお祈りいたします。

二〇二二年七月八日 編集部

『小田嶋隆のコラムの向こう側』目次

 コロナ下、病気が悪化したこの2年の中で、小田嶋さんが残した最後の言葉とは。本書にはこちらのコラムが掲載されています。

まえがきに代えて

第1章 コロナと孤独とコラムニスト
Zoomに心を許さない理由
君、最近休みをとったのはいつだね?
一億総祖父母時代に、大坂なおみ選手をたたえる

第2章 コラムの逆回天
「改革は待ってくれない」というのはウソ
昭和の笑いはおおらかだったのか
「一人メシ推奨国民運動」はなぜ嫌われる

第3章 さらば、酒と友と
酒飲みを甘やかす文化は永遠なのだな
いつか「嫌酒権」が叫ばれる日
夏の雲が立ち上がるのを見上げていたぼくは十六歳だった

第4章 晩年は誰のものでもない
自然の猛威で片付けるのはもったいない
晩年は誰のものでもない
ジョンとヨーコとフェミニズム
虫とタイガー・ウッズの父に学ぶ、遠くを見ない処世術

第5章 コラムの向こう側
殺意は容易に暴走する
戦争を宣伝ツールに使う残念な人たち
思い上がりがもたらす自縄自縛
カジュアルさにひそむ責任回避
○○界に残る「ホモソーシャル」

小田嶋さんご本人がコラムについて語る音声

「まえがきに代えて」にて引用された、小田嶋さんの言葉の音源を公開いたします。
『小田嶋隆のコラムの切り口』の発刊にあたり、2020年3月に、編集の星野がインタビューをしたときの音声です。
 コラムにおいて、紙媒体とウェブ媒体はどう違うのか? コラムの「多彩さ」や「幅」はいかにして出せる? SNSやブログ上でいい文章を書くには、何を意識することが大切? ・・・貴重な話題が17分にぎゅっとつまっています。
 コラムを語る小田嶋さんの肉声をぜひお聴きください。

おすすめの記事

編集部が厳選した、今オススメの記事をご紹介!!

  • 仲野徹×若林理砂 

    仲野徹×若林理砂 "ほどほどの健康"でご機嫌に暮らそう

    ミシマガ編集部

    5月刊『謎の症状――心身の不思議を東洋医学からみると?』著者の若林理砂先生と、3月刊『仲野教授の この座右の銘が効きまっせ!』著者の仲野徹先生。それぞれ医学のプロフェッショナルでありながら、アプローチをまったく異にするお二人による爆笑の対談を、復活記事としてお届けします!

  • 戦争のさなかに踊ること─ヘミングウェイ『蝶々と戦車』

    戦争のさなかに踊ること─ヘミングウェイ『蝶々と戦車』

    下西風澄

     海の向こうで戦争が起きている。  インターネットはドローンの爆撃を手のひらに映し、避難する難民たちを羊の群れのように俯瞰する。

  • この世がでっかい競馬場すぎる

    この世がでっかい競馬場すぎる

    佐藤ゆき乃

     この世がでっかい競馬場すぎる。もう本当に早くここから出たい。  脳のキャパシティが小さい、寝つきが悪い、友だちも少ない、貧乏、口下手、花粉症、知覚過敏、さらには性格が暗いなどの理由で、自分の場合はけっこう頻繁に…

  • 新しい「普通」を一個増やす

    新しい「普通」を一個増やす

    朴東燮

    みなさま、はじめまして。朴東燮(バクドンソップ)と申します。 僕は韓国の釜山(ブサン)生まれ育ちで、いまも釜山の日光(イルグァン)という街に住んでいる、 生粋の釜山人です。

この記事のバックナンバー

05月22日
第31回 仲野徹×若林理砂 "ほどほどの健康"でご機嫌に暮らそう ミシマガ編集部
10月13日
第30回 『味つけはせんでええんです』発刊記念
中島岳志先生による「土井善晴論」
ミシマガ編集部
10月11日
第29回 編集部が『ちゃぶ台10』をあつあつに語る(1) ミシマガ編集部
07月16日
第28回 『ぽんこさんの暮らしのはてな?』発刊からちょうど1年! ミシマガ編集部
07月09日
第27回 中田兼介×本上まなみ 「教えてもえもえ博士!もっと いきもののりくつ」 ミシマガ編集部
07月08日
第26回 祝『思いがけず利他』増刷! ミシマガ編集部
06月25日
第25回 特集:小田嶋隆さんの本を読みたい週末 ミシマガ編集部
06月18日
第24回 今日はパパの日!『パパパネル』によせて、tupera tuperaさんからのメッセージ! ミシマガ編集部
06月06日
第23回 2014年 今年の一冊! 百々ナイト ミシマガ編集部
05月25日
第22回 第22回「本屋さん発!」ウィー東城店発! ミシマガ編集部
05月14日
第21回 ナガオカケンメイ×井川直子「つづいているもの」が持つ、"なんか正しい感じ"の正体(2) ミシマガ編集部
05月13日
第21回 ナガオカケンメイ×井川直子「つづいているもの」が持つ、"なんか正しい感じ"の正体(1) ミシマガ編集部
05月09日
第20回 中島岳志×タルマーリー(渡邉格・麻里子)対談 「思いがけず発酵」(1) ミシマガ編集部
04月10日
第19回 微風台南・店主が教える 単純、豪快、台湾屋台飯! ミシマガ編集部
08月11日
第18回 君はバッキー井上を知っているか(2) ミシマガ編集部
08月10日
第18回 君はバッキー井上を知っているか (1) ミシマガ編集部
02月23日
第17回 言葉はこうして生き残る 河野通和『言葉はこうして生き残った』発刊記念インタビュー ミシマガ編集部
02月21日
第16回 周防大島に「宮田さん」を訪ねる。 ミシマガ編集部
02月18日
第15回 ボクは悩める坊さん。~ミッセイ和尚、2冊目を書きあげることができるのか?(後編) ミシマガ編集部
02月17日
第15回 ボクは悩める坊さん。~ミッセイ和尚、2冊目を書きあげることができるのか?(前編) ミシマガ編集部
01月13日
第14回 暖ドリ! 寒さを乗りきる 暖のとりかた (後編) ミシマガ編集部
01月12日
第14回 暖ドリ! 寒さを乗りきる 暖のとりかた (前編) ミシマガ編集部
12月27日
第13回 本屋さんと私 滝口悠生さん編(後編) ミシマガ編集部
12月26日
第13回 本屋さんと私 滝口悠生さん編(前編) ミシマガ編集部
12月08日
第12回 本屋さんと私 青山ゆみこさん編(後編) ミシマガ編集部
12月07日
第12回 本屋さんと私 青山ゆみこさん編(前編) ミシマガ編集部
09月25日
第11回 森の案内人・三浦豊さんと行く! 京都御所ツアー(2) ミシマガ編集部
09月24日
第11回 森の案内人・三浦豊さんと行く! 京都御所ツアー(1) ミシマガ編集部
08月26日
第10回 大島依提亜さんに聞きました!『今日の人生』の秘密など ミシマガ編集部
07月27日
第9回 本屋さんと私 山下賢二さん編 ミシマガ編集部
05月06日
第8回 Born to Walk!〜「心の時代」の次を探して(2) ミシマガ編集部
05月05日
第8回 Born to Walk!〜「心の時代」の次を探して(1) ミシマガ編集部
03月03日
第7回 細川貂々さんとツレさんに聞く! 電車と子育て ミシマガ編集部
02月05日
第6回 〈戦争できる国〉にしないためのちゃぶ台会議 戦後70年、元海軍兵の言葉を聴く ミシマガ編集部
12月19日
第5回 『上方落語史観』(140B)発売記念トーク 髙島幸次×笑福亭たま×久坂部羊(2) ミシマガ編集部
12月18日
第5回 『上方落語史観』(140B)発売記念トーク 髙島幸次×笑福亭たま(1) ミシマガ編集部
11月18日
第4回 「未来の今日の人生」 ミシマガ編集部
11月13日
第3回 増田喜昭×後藤美月 自分の人生に落とし前をつける絵本 ミシマガ編集部
09月24日
第2回 僕たちの世代 光嶋裕介×後藤正文×三島邦弘(2) ミシマガ編集部
09月23日
第2回 僕たちの世代 光嶋裕介×後藤正文×三島邦弘(1) ミシマガ編集部
07月30日
第1回 古代文字で写経 安田登 ミシマガ編集部
ページトップへ