トーキョーでキョートみつけたトーキョーでキョートみつけた

第6回

みず

2018.09.04更新

 4月22日下北沢で晩夏の京都にいた。

 4月というのに29度まで上がるこの日、

 ライブハウスの中は熱帯夜のような高湿度。

 乾いたギターの音とねばり気のある声が混じったサウンドに

 夜の河原へ連れられた。

 北から南へぬける風が柳を揺らす。

 川はとうとう流れていくのに私はどこにも行けない。

 肌を這う湿気をぬぐうことはできない。

 流れの傍を遡るように走る。

 源にはたどり着けず止まる。

 海の代わりにプールがあった。

 泳いで、泳いで、涙を散らした。

 どうしてあんなに哀しかったんだろう。

 あの私はどこにも行けないと思っていたのに

 その閉塞感をどこかで伏せた。

 だからいま東京の下北沢で息ができているのだ。

 だがここで、京都にいる。これはいったい。

 昔に戻りたいわけでも浸りたいわけでもないのに

 台風クラブの「処暑」という曲が私の胸を痛くさせ

 ふたたび涙を放すことになろうとは。

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早織

早織
(さおり)

女優。1988年5月29日生まれ。京都市左京区育ち。立命館大学産業社会学部卒業。14歳のとき、河瀬直美監督と出会い女優を志す。スターダストプロモーションに所属し、京都に住みながら東京ではたらくという生活を15歳から始める。 三木聡監督のショートフィルム『臭いものには蓋の日』で主演デビュー。 アイドルユニット、バラエティ番組、テレビドラマ、CM、映画、舞台を経験し、2011年大学を卒業後に(やっと)上京。 趣味は読書と写真。近年の出演作 : 映画『百円の恋』『過激派オペラ』『キセキ ーあの日のソビトー』『光』『かぞくいろ』、WebCM 三菱UFJ信託銀行『心の資産 篇』

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