月刊ちゃぶ台

第36回

これまでの『ちゃぶ台』で「書店、再び共有地」特集に登場したお店を紹介します!(後編)

2023.06.05更新

 こんにちは、編集チームのスミです。

 『ちゃぶ台11 特集:自分の中にぼけを持て』、いよいよ今週、6/9(金)に発売です!

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『ちゃぶ台11 特集:自分の中にぼけを持て』ミシマ社編(ミシマ社)

「ちゃぶ台」には、「書店、再び共有地」というコーナーがあります。
 町を動かす拠点になったり、「居場所」となったり、地域の方の生活に欠かせない存在となっていたり。そんな書店を、ミシマ社の営業メンバーが取材する連載です。
 始めたきっかけは、『ちゃぶ台9 特集:書店、再び共有地』の刊行です。

9784909394675_zmhpxg2.jpegちゃぶ台9 特集:書店、再び共有地 ミシマ社編(ミシマ社)

 この特集について、代表ミシマが言葉を寄せています。

編集長より 特集「書店、再び共有地」に寄せて

社会を安定的に持続させてゆくためには、社会の片隅にでもいいから、社会的共有資本としての共有地、誰のものでもないが、誰もが立ち入り耕すことのできる共有地があると、わたしたちの生活はずいぶん風通しの良いものになるのではないか
――平川克美『共有地をつくる』

 この一文のあと平川さんは、「国家のものでもないし、『私』のものでもない」、「自分一人で生きてゆくのではなく、かといって誰かにもたれかかって生きているわけでもない場所」と共有地を定義づけます。たとえば、喫茶店、銭湯、居酒屋、縁側など。

 これを読んだときすぐに、間違いなく書店もそうだ、と直感しました。なぜなら、私たち(ミシマ社)は書店さんと日々、直取引をおこなうなかで、書店という場が読者、のみならず地域の人たちにとってどんどん「共有地化」しているのを感じていたからです。

 いえ、なにも急に起こった現象ではありません。むしろ逆で、かつてはほとんどすべての書店がそうだった。そして、一部はそうでなくなっていた。が、いま再び共有地となっている本屋さんが次々と現れている。同時にその姿はかつてと同じではない。つまり、強すぎる地縁や共同体意識などから解放されてある。

 かつてあった、ということは今もできるという裏返し。
 かつて、と違うかたちなのは、現代社会が希求するかたちへ変形したということ。
 現代の共有地はこうしたふたつの希望を抱えて現出してきつつあるのではないでしょうか。

 本特集では、現代に生きる共有地たりうる本屋さんを、普段よりお付き合いさせていただいているミシマ社の営業メンバーたちが取材しました。

本誌編集長 三島邦弘

 昨年5月の『ちゃぶ台9』の発刊から、ちょうど1年が経とうとしています。本企画のスタートから1年を記念して、『ちゃぶ台9』と『ちゃぶ台10 特集:母語ボゴボゴ、土っ!』で取材した書店を、ミシマ社メンバーが紹介します。本日は後編をお届けします!

前編はこちら

97849093948042.jpeg『ちゃぶ台10 特集:母語ボゴボゴ、土っ!』ミシマ社編(ミシマ社)

ミシマ社メンバーが「書店、再び共有地」の全登場書店を紹介します!(後編)

●ポルベニールブックストア(神奈川・鎌倉/『ちゃぶ台9』

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suga.jpg 店の入口、本を並べる什器からバリアフリー。道路に面する大きな窓と、入口に待ち構えるペンギンの人形のおかげもあり初めて行く時でも入りやすいです。店主金野さん(サッカー好き)が、店作りも選書も誰にでもフラットであることを大切にする、風通しのよい本屋さんです。(営業・スガ)

●Antenna Books & Cafe ココシバ(埼玉・川口/『ちゃぶ台9』)

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suga.jpg クルドの方向けの「寺子屋」など、毎日なにかの催しが開催されている広場のような本屋さん。出版社「ぶなのもり」を営む店主小倉さん(セルビア好き)が並べる本は、小さな出版社たちの人文書をはじめニッチな本が盛りだくさん。(営業・スガ)

●栞日(長野・松本/『ちゃぶ台9』)

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mori.jpg 松本を訪れたら、適宜観光したあと、栞日さんの一階でコーヒーを飲み、2階でリトルプレス中心の濃い棚で本を選び、そして向かいの菊の湯でひとっ風呂浴びて、帰りの特急の中で買った本を読むわけです。最高です。(営業・オカダ)

●SANJO PUBLISHING(新潟・三条/『ちゃぶ台10』)

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mori.jpg 昔ながらの商店街の中に現れた新しいお店。貸し棚や読書会など、地域と繋がる本屋の形を模索しています。「みんなに届け!ぼくの推し本」企画として松村圭一郎先生の『うしろめたさの人類学』を激プッシュしていただいたことも。ユニークなお店です。(営業・オカダ)

●ブックカフェ「フルハウス」(福島・南相馬/『ちゃぶ台9』)

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ikehata.jpg お店を営む村上さんのお話や姿勢に、ただただ胸を打たれました。商売としての本屋を超えた、居場所としての本屋さん。身も心も行くあてのないときに、この場所が救いになっているのだと感じました。小さな町で、第一線で活躍する作家さんの生の言葉や選書に出合える奇跡のような空間。(営業・イケハタ)

●Seesaw Books(北海道・札幌/『ちゃぶ台9』)

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sumi.jpg 行き場を失った人の住まいを提供するシェルターの、すぐ横に開かれた本屋さんです。「シェルターを続けるために書店をやろうと思ったのがはじまりです」という店主・神さんの言葉をはじめて読んだとき、自分たちが特集名として掲げた「書店、再び共有地」という言葉の意味を、具体的に、ありありと実感しました。いつかお店に伺って、併設の宿にも泊まってみたいです~。(編集・スミ)


 いかがでしたでしょうか?
 本コーナーでは、全国の本屋さんを取材しています。ぜひお住まいの地域で、旅先で、「共有地」な本屋さんに立ち寄っていただけたらうれしいです。

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 そして、6/9(金)発売の『ちゃぶ台11』にて、本コーナーの最新回を掲載いたします!
 取材に伺ったのは・・・

 ●恭文堂書店(東京・学芸大学)
「創業95年の入りやすい店」

 ●句読点(島根・出雲)
「みんなにとっての『、』や『。』になる」

 の2店舗です。
 どうぞお楽しみに!

ミシマガ編集部
(みしまがへんしゅうぶ)

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