月刊ちゃぶ台

第37回

『ちゃぶ台11』刊行しました~!

2023.06.11更新

 こんにちは。編集チームのスミです。
 一昨日、ついに『ちゃぶ台11 特集:自分の中にぼけを持て』がリアル書店先行発売日を迎えました!(ネット書店を含むすべてのお店での発売日は、6/14(水)です。)

230605_1.jpg『ちゃぶ台11』

 本日のミシマガでは、さっそく書店で展開いただいている様子や、これまでお見せしていなかった本誌の「中身」を公開いたします!

全国の書店で展開中!

 一昨日頃より、全国の書店で展開いただいています。
 こちらは、銀座蔦屋さん。

chabudai11_ginzatsutaya.jpg銀座蔦屋

 そしてこちらは、丸善 京都本店さん。文芸書コーナーのエンド、ミシマ社コーナーなどに置いていただいています。

chabudai11_maruzenkyoto.jpg丸善 京都本店

 ジュンク堂書店 池袋本店さんでは、雑誌コーナーにて展開中。渾身のパネルも設置させていただきました。

chabudai11_junkudoikebukuro1.jpg

ジュンク堂書店 池袋本店

chabudai11_junkudoikebukuro2.jpg パネルのテーマは、「自分の中にぼけを持て。そのためには?」。
 著者のみなさんから集まった、自分の中にぼけを持つためのキーフレーズをご紹介しています。
 心の中で唱えると、ちょっと気持ちが楽になって、風が通る。そんな、おもしろくて、かつ、超実践的なヒントが、今号にはたくさん詰まっているのです。日々の仕事や人間関係、思考や気持ちの切り替えなどに、めちゃめちゃ使えます。
 それでは、実際に中身をご紹介してまいります!

今号もやっぱり、デザインがすごい!

 中身について、まずはデザインから。
 私たち編集チームは、毎号、ちゃぶ台が完成に近づく時期から発刊時まで、この言葉を連発します。

「デザイン、すご~!!」
「今号もやばいですね!」

 本誌のデザインは、第6号から、tentoの漆原悠一さんに手掛けていただいています。

230609_14.jpg『ちゃぶ台6』から『ちゃぶ台11』まで

 写真、イラスト、漫画・・・素材や色合いは毎号ガラッと変わるのに、どこか優しさの漂う、統一感のある表紙です。

230609_12.jpg 今号の表紙は、平野愛さんの写真。
 表1(表)も表4(裏)も、「ぼけ」のエッセンスが真ん中にちょこんとあしらわれているような、素敵なデザインです。個人的には、表4のわんちゃんがかわいくてかわいくて、目じりと口角を下げながらずーっと眺めてしまいます。

 また、こちらは本誌を天側(上)から見たもの。

230609_13.jpg カラフル! そして、紙を断ち落とさない「アンカット」という製本によって、味わいのある「雑味」が出ています。
 今号は、本文だけで4種類の紙を使用し、印刷の色も、モノクロ、フルカラー、3種類の特色ページと、さまざまに組み合わせました。
「ちゃぶ台」は毎号、「紙」でしか味わえないおもしろさを追求してきました。そのためもあり、電子書籍化はしていません。紙の原価が高騰したり、廃番や調達困難な紙が増えたりしているなかでも、なんとか「紙」の雑誌の良さ、おもしろさをお伝えしたいという思いで、工夫を続けています。

 そして、なんといっても、今号で最もご注目いただきたいデザインのひとつが・・・

230609_1.jpg こちら。何に見えるでしょうか?
 なんと、目次が「あみだくじ」形式になっています・・・!

 毎号、この目次ページでは漆原さんのデザインが爆発しているのですが、今回はこんな仕掛けを施していただきました。
 この目次、実際に使ってみるとめちゃおもしろいです。
 どんなに急いでいても、目的の情報にはすぐにたどり着けないし、ページ番号と読み物のタイトルが完全に分離しているので、「何を読もうかな?」という感じで適当に番号を選んでいただくと、そのときの運命の読み物へと無作為に導かれます。
 おのずと、読み方に「ぼけ」が注入される気がします。

「ちゃぶ台」は創刊以来、どこから読んでもおもしろい、そして、「最初から最後まで読み通せる」雑誌を目指してきました。この目次とともに、いろいろなジャンル、テーマ、作家さんとの偶然の出会いを楽しんでいただけたらうれしいです。

自分の中にぼけを持て そのためには?

 いよいよ最後に、読み物のご紹介です。

 さきほど申し上げたとおり、今号には、自分をふっとゆるめてくれる、ぼけの力の詰まった言葉がたくさんおさめられています。たとえば・・・

230609_2.jpg

「ぼけ」は人生において人に試練を与えます。(...)でも、それだけではありません。救いがあるのです。

「できなくなる」は見方を変えれば「できるようになる」であるとも言えます。

――村瀨孝生さん

 巻頭は、村瀨孝生さんの随筆「僕の老い方研究」です。
 特別養護老人ホーム「宅老所よりあい」の代表を務める村瀨さんは、35年間にわたって老人介護の現場に身を置くなかで、「老い方というものがあるのかもしれない」と感じるようになりました。
 始末のよい老いとは? この問いと共にはじまったのが、「僕の老い方研究」です。
 第1回では、村瀨さんがこれまで付き合ってきたお年寄りたちの記憶を掘り起こします。

230609_6.jpg

 生命と生命がわかりあうということは、靄がかかったような状態のことがわかる、ということだと思います。曖昧であることが、じつはとても重要なんだ。

――山極壽一さん

 ゴリラ研究の第一人者であり、京都大学前総長の山極壽一さんのインタビューも掲載しています。
 そもそも、「ぼけ」って人間だけのもの? という問いを持った私たちは、霊長類と人類史のエキスパートである山極先生にお話を伺うことにしました。
 人間同士、ひいては生物同士が、共に生きるってどういうこと? ゴリラの話を起点に、話はどんどん深まっていきます。

230609_4.jpg

 変にものわかりがいいふりをして、人の話を真に受けて聞き過ぎることをやめにした。

――津村記久子さん

 こちらは、毎号大人気の、津村記久子さんによるエッセイの連載です。今号のテーマは、「共にぼける」。
 人間同士が共に生きるってどういうこと? コミュニケーションって、何が大事なんだろう? そういった疑問への、思いがけない角度からのヒントが隠されています。
 誰かと会話するときについ、「これについてどう思う?」「それは間違っているんじゃないかな」と、論理や考え方にピントを合わせすぎてしまう癖がある私は、津村さんの言葉を読んで、ほんとうに救われました。
 家族、同僚、友人、恋人、あらゆる人と、「共にぼける」こと。強くおすすめいたします。

230609_5.jpg

 劇の演出をするとき、もちろん「ダメ出し」の時間は存在しますが、そのときにダメを出すことはありません。

――上田誠さん

 考えてもしょうがないことにえらい時間をかけて考え込んでませんかね。私はこれに気づいてから、その手のことを考えることは一切やめました。時間の無駄なのです。それをやめた分の時間でちょっとぼやっとすることにしています。

――若林理砂さん

 ちょっと手前で止まってみるのがいい。そしたら、なぜだかあちらがちょっと寄ってきてくれるから。

――平野愛さん

 冒頭でご紹介した写真家の平野愛さん、そして、劇作家の上田誠さんと、鍼灸師の若林理砂さんに、「自分の中にぼけを持つための三箇条」をテーマにエッセイを綴っていただきました。

 それぞれの分野で活躍されている三人は、表現活動、仕事、生活のなかで、どんなふうにして自分の中に「ぼけ」を生み出しているのでしょうか?
「ああ、だから自分は無駄にイライラしてしまっていたんだ」「だからうまくいかなかったんだ」とわが身を省みるとともに、「今日から心の中でこれを唱えよう!」と思える、薬のような、お守りのような言葉ばかりです。

***

 本日はたくさんの写真とともに、『ちゃぶ台11』の中身の魅力をたっぷりお伝えしました。
 ぜひ、お近くの本屋さんでお手に取っていただけたらうれしいです!

ミシマガ編集部
(みしまがへんしゅうぶ)

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