第48回
ちゃぶ台編集部は、どんなふうに雑誌をつくっていくのか?(2)
2026.03.10更新
こんにちは。ちゃぶ台編集部のスミです。
生活者のための総合雑誌『ちゃぶ台』は、2025年12月に最新号『ちゃぶ台14』が発刊されたばかりですが、編集部ではすでに2026年12月刊行予定の『ちゃぶ台15』に向けた企画会議がはじまっています。
これまでのちゃぶ台は、慌ただしく無我夢中で制作しているあいだにできあがっていた、ということが多々あり、雑誌づくりのプロセスをお伝えしたり、振り返ったりすることを忘れがちでした。そこで、『ちゃぶ台15』については一冊をゼロからつくっていく渦中を記録して、できるだけリアルタイムでお届けしたい。そう思い、「ちゃぶ台編集部は、どのように雑誌をつくっていくのか?」と題して、このミシマガに毎月レポートを掲載することになりました!
先月公開した第1回では、『ちゃぶ台15』のキックオフミーティングの模様をお伝えしました。
いよいよ次号の形が見えはじめる。かと思いきや、編集長ミシマから「別冊ちゃぶ台」なる新たな枠組のアイデアが飛び出し、さらに転じて、まったく別の書籍企画が2つ立ち上がってしまうという予想外の着地に。ちゃぶ台自体のことは何も決まらず、しかし熱い話し合いだけはできた時間となりました。これからどうなってしまうのでしょうか。本日は、その後の編集部の模様をお伝えします。
振り出しに戻るところからスタート
前回生まれた2つの書籍企画『あきない読書』と『ためになる読書』。これらについては今後時間をかけて練っていくことになり、一旦保留に。
そしてついに、まっさらなところから『ちゃぶ台15』について考えることになりました! 振り出しにもどり、編集会議が開かれました。
これまでのちゃぶ台編集会議は、「特集テーマ」のアイデアを出し合うところからスタートしてきました。しかし、今回まず議題となったのは、「今後、ちゃぶ台をどう届けていくのか?」ということでした。
2015年にちゃぶ台が創刊してから、昨年で丸10年が経ちました。創刊号の『ちゃぶ台「移住×仕事」号』は、刊行から9年後に4刷がかかり、おかげさまで累計1万部を突破。ほかの13巻とあわせて、発刊から長い時間が経った今もお手にとっていただいています。本当にありがとうございます。
それでも、「ミシマ社は雑誌も作っているんですね」「ちゃぶ台を最近はじめて知りました」というお声をいただくことはとても多く、これからもっとたくさんの方に本誌をお届けするにはどうしたらよいかと、とくにこの数年、ミシマ社の編集部も営業部も考えつづけてきました。
この「課題」は、出版業界全体の流れとも無縁ではありません。2026年1月末、紙の出版市場が50年ぶりに1兆円を下回ったことが報じられました(このニュースについては、ミシマがRe:Ron連載でも綴っています)。なかでも雑誌は、休刊となる媒体も多く、売上が前年比10%減という大幅な縮小傾向にあります。
私たちの会議の場でも、ちゃぶ台をつづけていくときに、この時代の状況をふまえなければ、という話になりました。
2024年末に累計1万部となったちゃぶ台創刊号
大きすぎない規模だからできることがある
ちゃぶ台の内容をどうしていくかを考える前に、「どう届けていくか」の話からはじまった編集会議。
そのなかで、ノザキさんがこんなことを言いました。
「ちゃぶ台をもっとたくさんの方にお届けしたいという目標もあるんですけど、一方で、今のように初版数千部の規模だからこそできることもあると思うんです」
たとえば、一気に数十万人の目に触れるネット記事のような媒体では掲載が難しい、扱いにくいテーマに踏み込んでみる。
これまで「ちゃぶ台を読んでいます」と伝えてくださった読者の方々の顔を思い浮かべ、ゆるやかなコミュニティのようなものを感じながら言葉を発する。
ちゃぶ台の雑誌づくりではこうしたことが可能で、だからこそ深まっていくおもしろい世界があり、結果として雑誌の内容も生き生きするのかもしれないことに気づき、私はとてもハッとしました。
数千人という規模の読者を近くに感じながら、毎年、ミシマ社がいちばん問いたいと思ったことを特集に掲げる。そのことを楽しんでくださり、さらには待ってくださる方がいる「場」をつくっていけたらいいのではないか。
このことが、ちゃぶ台をつづけるうえで大切な柱になっていくと感じていて、今後具体的に実践に移していきたいと思っています。
煮込まれる場と止まらない特集案
話し合いを続けていくあいだに、編集会議の場はだんだん煮込まれていき、編集部4人がひとつの脳みそになる状態に近づいている予感がしてきました。
「では、次号の特集はどうしましょう?」
いよいよ内容に踏み込み、メンバーの口から出てきたアイデアの一部がこちらです!
・これからの出版
・出版ど真ん中
・おもしろい民主主義を暮らしに使う
・資本主義を味方につける
・クリエイティブ読書のすすめ
・古事記とマグマ
・数字の読み方
・歯止めの教養
・紙の本というメディア
・・・どんどんあがる案。広がりに広がる話。会議の進行役を務めていた私は、冒頭で「今日のゴールは特集を決めることです」と宣言し、意気込んで臨んでいたのですが、収束の気配は一切ありませんでした。
「ちょっと、特集とかいろいろ決めていくのは、まだやわ」。
すでに数時間をかけた話し合いの末、ミシマさんがパシッと言いました。
「来週、もう一回集まろう。そこで特集を決めましょう」
はたして、ほんとうに特集は決まるのか? 今日の時点ではまだ私たちもわかっていません。
次回のレポートにご期待ください!





