今月のミシマ社

第16回

自由が丘オフィスメンバーが新人に贈る一冊

2019.12.23更新

 ミシマ社では、毎年の終わりに「今年の一冊座談会」としてメンバーが今年読んでもっとも印象的だった本について語る会を行っています。今年のテーマは「新人に贈る本」。本について語ることを通して、これからのミシマ社を語る。そんな会が京都と自由が丘のそれぞれで行われました。今日は自由が丘メンバーの様子をお届けいたします。みなさんも、今年読んだ本を思い浮かべながら、今働いている会社の新人さんを思い浮かべながらぜひお楽しみください。

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スガが新人に贈る一冊

スガ 新人はわりとやらかすことが多いんですよ。そんなときは落ち込みますよね。この号は禅や太極拳などのボディーワーク、湯治やチネイザンというの内臓マッサージといった癒しの技法、果ては「断食道場」などが紹介されています。そのような「ボディトリップ」で人が癒されている様子が描かれているのを読むとこちらまで癒されました。
 これはそれぞれの項目の専門の人が書いているのではなく、編集部に依頼された、それぞれの「ボディトリップ」の専門家ではないライターさんが興味のある項目について実際に体験しながら書いています。だから個人の率直な感想、「ここはあまり理解できない」といったことまで書かれているのでとても参考になります。また3万円渡されてその金額内で実際に体験してみる「3万円ボディワーク 体験ルポ」という企画など、自分でもやれそうでやってみたくなる企画もたくさんあります。また、新生活で新しい趣味を見つけたい! という方にもおすすめです。結局僕はなんもやってないんですけど(笑)。

イケハタ 新人を癒す一冊からスタートですね。ではその本と3万円をセットでプレゼントということで(笑)。


サトウが新人に贈る一冊

サトウ 青木真兵さんと海青子さんというご夫婦の本なのですが、お二人は「オムライスラジオ」というラジオを配信されていて、私はそれでお二人を知りました。最初は青木さんは研究者、海青子さんは司書として働いていたのですが、二人とも仕事をしていくうちに体調を崩してしまい、神戸での生活に生きづらさを感じるようになったそうなのです。そこで逃げるように東吉野村という村に移住して、自宅を解放して持っている本を貸し出す「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」というものを立ち上げたんです。そのような経緯が書かれている本なのですが、思想家の内田樹さんや建築家の光嶋祐介さんなどとオムライスラジオで対談した内容も書かれています。
 タイトルに移住という言葉が入っていて、いきなり新人に移住を勧めているようなのですが・・・(笑)それで言うと内田先生は都市に住んでいますが、内田先生の場合は武道をやられていています。武道を通じて一番身近な自然である自分の身体というものに目を向けている時間が長いので移住する必要はないとおっしゃっていて。都市での生活が生きづらいから移住しなくてはいけないということではなく、その中でいかに自分の拠点をみつけられるかっていうことが大事なのかなと思いました。
 新しい生活の中で自分なりの拠点をみつけて、地に足つけた状況で新しいことに挑戦していけたらいいのではないでしょうか。

イケハタ 物理的な拠点だけじゃなくて、仕事の役割のような自分の居場所も大事ですよね。最初は会社の中で自分の居場所を見つけていくのって大変だと思うんですよ。ただそこで焦らず色々探っていくことが大切かなと思っていて、この本はその参考になりそう。読みたいです。


モリが新人に贈る一冊

モリ 内田先生の身体の話も出てきてなんか身体つながり、みたいな流れになっていますが・・・僕は全然違う『論語物語』という本です(笑)
 確か僕が社会人2年目くらいのときに読んだ本なんですけど。大学生活を過ごして、4年生にもなるとサークルとかゼミとかで仕切る立場になって何でも出来るぞ! という気持ちになるじゃないですか。それで社会人になるとうまくいかないことも多くて「あれ? こんなはずじゃないぞ・・・」となって。そんな打ちひしがれてジタバタしているときに手に取ったのがこの本です。
 この本は論語の中の一節一節をもとにして創作を混ぜて小説仕立てにしてあります。この本を読んでから自分の頭の中にバーチャル孔子が常駐してくれるようになって仕事中にも「私は孔子です。モリよ、あなたのその言葉は本当に相手のことを思って言っていますか」と諭してくれて仕事も、人間関係もうまくいくようになりました。


イケハタが新人に贈る一冊

イケハタ この本では宮大工のレジェンド、小川さんが大工に入門してそこで修業して、独立して自分で鵤工舎という会社を作って弟子を育てていった過程が語られています。小川さんは薬師寺など日本の歴史的建造物の修復や建て替えを手がけた方なので、いま生きている私たちがやっている1、2年スパンの仕事とはまったく違う時間軸の中で仕事をしていらっしゃいました。その中でいかにいい仕事ができるのか、どうやったら人が育つのかが書かれています。
 これを読むとその場を取り繕うだけの表面的な仕事をすごく戒められます。
 僕も振り返ると大学を卒業してミシマ社に入って働く中で取り繕って、自分を良く見せようとかしてしまうこともあったんですけど、この本を読むたびに姿勢が正される気がします。
 「器用は損や」って言葉が書いてあるんです。器用だとパッと1回やってそこで終わり。一方で不器用だと何回も繰り返しやる。そのなかにその人の技が生まれ、その人しかできないことができるようになる。その意味ではこれはスガ君にもおすすめの本ですね(笑)
 これはたぶん、死ぬまでの間、何度読んでもそのたびに勉強になるなって本です。


ホシノが新人に贈る一冊

ホシノ ミシマ社本の装丁も手掛けてくださっているデザイナーの尾原さんの本です。この本は私がミシマ社で編集に携わるようになった割と最初の頃の本なんです。新しい職に就いたり、新しい仕事を担当したりする時って楽しみな気持ちもがある反面、不安な気持ちとか恐怖心もあるじゃないですか。まさに私はその時そんな気持ちだったんですよ。
 尾原さんは22歳のときに高知から、地図だけ持って東京に出てくるんです。そして師匠となるデザイナーさんをみつけて、すごい勢いで吸収して全力で仕事に向かっていく、それが読んでいて本当に気持ち良いんです。それを読んでモヤモヤしてた自分が吹っ切れたんです。
 よく言われているように最初の2、3年ってほんと大事だと思います。その自分がまっさらな状態でしか入ってこないこととか、その時しかできない失敗とか、すごく濃い時間が待っていると思うんです。今この本を読むとその時の気持ちを思い出すことができます。新人の方にはこれからそんな濃密な時間が待っている、ということを感じてもらえる一冊かなって思っています。

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 次回は京都オフィスメンバーによる本の紹介です!

ミシマガ編集部

ミシマガ編集部
(みしましゃへんしゅうぶ)

 

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