第26回
電子書籍しません宣言、撤回します!
2020.06.10更新
こんにちは。ミシマガ編集部です。
いきなりですが、前言撤回いたします。
今まであちこちで散々、「やりません!」と言ってきた電子書籍、ついに始めることにしました!
新型コロナウィルスへの対応、ではありません。実は、昨年から準備を進めていたのです。
ミシマの近著、『パルプ・ノンフィクション』を読んでくださった方は、もうご存知かと思います。前言撤回に満ちたあの本で、何度か「紙の本が一番!」と言っておきながら、三島は最後にこんなことを書いておりました。
・・・ついに、電子書籍に踏み出すことにした。十月三十日の京都新聞のある記事を読んだ瞬間、迷いなく決めた。
その記事はこうあった。──二〇一八年度の国語に関する世論調査(文化庁発表)によれば、「読書が減っている」と答えた人は67.3%。一カ月に一冊も読まない人は47.3%。電子書籍を「よく利用する」「たまに利用する」は25.3%。二十~二十九歳では53.4%。
現実がこの通りであれば、シノゴノ言っている場合ではない。
電子より紙の本のほうがいい。はるかにいい。比べものにならない。
それはそうだ。その思いに変わりはない。が、読まれないことには始まらないではないか。
なぜなら、出版社である僕たちの役割は、「おもしろい」をつくり、届けることだ。つくって届けるところまでが、僕たちの本分である。しかも、自社の一貫した思いは、未来へ出版業を継承していくことだ。未来とはすなわち若い人たちにパスされていくことにほかならない。その若い人の四人にひとりが、電子書籍で読むのだとすれば、その回路に載せるのは当然であろう。電子から入ってきた人が、ひとりでも「紙で読みたい」と思ってくれるかもしれない。その可能性が1%でもあるのなら、その扉を開けたい。
(『パルプ・ノンフィクション』p.228より)
そんな思いで、もっともっと面白い!を届けるため、電子書籍化に踏み切りました。
制作は、確かな技術力をもったワイズネット社さん(実は大田区の会社なので、自由が丘オフィスの割とご近所さんです)にお願いして、元の本の魅力を引き出すように作っていただいています。
しかも今回、電子書籍を始めるのはミシマ社だけではありません。
なんと、リトルモアさんと合同で同時配信します!
リトルモアさんといえば、文芸書や料理書からアート系の写真集の出版、さらには映画の配給まで手掛けることで有名な出版社です。実はミシマガとも縁が深く、刊行一覧を見渡してみると、
「きんじよ」のいしいしんじさんの『マリアさま』
「「ない」ようで「ある」」の星野概念さんの『自由というサプリ 続・ラブという薬』
「地域編集のこと」の藤本智士さんの『風と土の秋田』『ほんとうのニッポンに出会う旅』
など、ミシマガ連載陣の本を多く出版されています。
そんなリトルモアさんと一緒に、「電子書籍しません宣言、撤回します!」と銘打って、とっておきの本を同時刊行していきます。
第一弾は、以下の豪華なラインナップです!
<ミシマ社>
・松村圭一郎『うしろめたさの人類学』
・最相葉月、増﨑英明『胎児のはなし』
・森田真生『数学の贈り物』
<リトルモア>
・坂口恭平『まとまらない人 坂口恭平が語る坂口恭平』
・いとうせいこう・星野概念『ラブという薬』
・杉山明日香『ワインの授業 イタリア編』
今回、キャンペーンの特設ページも制作しました。
こちらから各電子書店にアクセスできます。
今後も続々電子書籍を出していきます。第2弾は7月リリースで、電子化の要望も多い人気作を刊行する予定です!
さらに、ミシマ社の新刊についても、紙版の発行に近いタイミングで電子版を刊行していこうとしています。
(6月刊『パパパネル』のように明らかに電子化不可能なものもありますが)
どうぞお楽しみに!
これからも、紙でも電子でも、あるいはオーディオブック、さらにはライブ配信と、手段を選ばず面白さを届けて参ります。みなさまにも一緒に楽しんでいただければ幸いです。
編集部からのお知らせ
オーディオブックもリリース中!
「聴く本」であるオーディオブックも制作しています!
今回電子書籍化した『胎児のはなし』と『うしろめたさの人類学』は
オーディオブックにもなっています。
詳細はこちらの一覧記事をご覧ください。
MSLive! 6/10(水)「ちゃぶ台編集室」第1回開催!
開催日時:6/10(水)19:00〜
出演:三島邦弘ほかミシマ社編集チーム (ゲスト)中村明珍さん
毎年10月に刊行しているミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』。10日の第1回では瀬戸内海・
ぜひ4回を通して『ちゃぶ台Vol.6』
※MSLive! ほかにも講座を続々と開催いたします。こちらをご覧ください。