第22回
MSLive!(ミシマ社ライブ)はじめます!!
2020.05.11更新
こんにちは、新人の山田です。私は、コロナウイルス感染拡大まっただなかの4月1日に入社し、気付けばはや1か月がたっていました。その間、ミシマ社は通常の出版活動に加え、ミシマ社ライブ(通称 MSLive!)という新たな試みに着手していました。その模様を、新人の私の目線から、みなさまにお届けできればと思っています。
まずは「MSLive!とはなんなのか? どういう経緯ではじめたのか?」ということの説明として、先日メールマガジン会員の方にお送りした三島の言葉を掲載します。
待っている人のもとへ確かな言葉をーー原点回帰の出版活動
新型コロナウイルス感染拡大の危険がつづく日々、いかがお過ごしでしょうか?
なかなか先が見えませんが、私たちの書籍や出版活動が少しでも皆さまの日常に彩りを添えるものであれば、これほど嬉しいことはありません。
そういう思いもあり、このたび、ミシマ社ライブ(通称 MSLive!)というオンラインイベントを積極的に企画・開催していくことを決めました。
決め手は、オンラインで開催した二つのイベント「この日の学校」(4/19)、「パンデミックを生きる構え」(4/25)でした。
参加者の方々から、「開催してくれてありがとう!」といった溢れる思いが詰まった声を多数いただきました。
情報が錯綜するなか、こうした確かな声を欲していた、いう声もありました。
そうか、そういうことか!
私のなかで、その瞬間、「これぞ出版の原点回帰だ」と思えたのです。
待っている人のもとへ、確かな言葉を届ける。
思えば、ミシマ社の本はすべて、「生き物」のような生命力の高い本でありたい。そう願ってきたわけですが、両イベントの言葉は文字通り、その瞬間生成された生きた言葉でした。それを、空間的縛りを超えて「一人」のもとへお届けする。これぞ、出版活動の原点、出版メディアとして果たすべき仕事ではないか。大きな気づきとなって、そのように感じた次第です。
今後、私たちが時間をかけて関係を築いてきた確かな方々と、確かな言葉を、MSLive!でお届けしていければと考えております。
ミシマ社 三島邦弘
激動の4月
私が入社して間もない4月7日、東京都をはじめとした7都府県に、緊急事態宣言が発令されました。そして、特に都心部の大型店を中心に、多くの書店さんが休業を余儀なくされました。
4月19日に予定されていた、森田真生さんと甲野善紀さんのイベント「この日の学校」も開催が危ぶまれていました。しかし、募集開始直後から多数のお申し込みを頂いていた、人気のイベントだったということもあり、開催方法をオンラインに変更して開催する、ということになりました。
さらには、4月17日に予定されていた、恵文社一条寺店でのイベント「一冊!宣言~本屋と出版社と、読者の『これから』を考える」も、オンライン配信で開催することとなりました。
そうは決まったものの・・・ミシマ社には、もちろん最新の配信設備などありません!
そこで、コンピュータ・カメラなどの機材に詳しい新居が、設備をそろえる役割をかってでました。配信に必要な機材とは、カメラ・マイク・それらをパソコンにつなぐケーブル(これが様々な種類のものが必要で厄介)などなど・・・。動画配信という慣れない状況に適した機材を探すのには、新居も相当苦戦している様子でした。しかし、「こういうの調べだすと、止まらなくなっちゃうんですよ~」と言っていたように、とことん調べつくし、質の高い配信をするために必要な機材一式をそろえました。
機材がそろえばもう大丈夫!! ・・・というわけでもありませんでした。機材の接続から、配信方法の確認などなど・・・やることはまだまだ山積みです。そこからは営業の田渕を中心に進められていきました。そんなさなかの4月16日には、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大し、休業する書店さんの数も一気に増えました。そのため営業メンバーは、全国に書店さんの営業状況を確認する業務に追われており、それと並行して配信イベントの準備をしなくてはならず、とても忙しそうでした。
そして4月17日、恵文社一乗寺店で、ミシマ社初のオンラインイベントが開催されました。恵文社の鎌田裕樹さんと三島が、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、出版業界のこれからについて熱い議論を交わしたこのイベント。参加者はその模様を、自宅のパソコンやスマートフォンなどから視聴しました。コメント機能を使って多くの質問も寄せられ、オンラインながら、臨場感と活気のあふれるイベントとなりました。
さらに4月19日には、京都の瑞泉寺と甲野先生のご自宅の2か所から、「この日の学校」の配信が行われました。
その翌週には、京都の書店メリーゴーランドさんと共同で、藤原辰史先生をお迎えして、「パンデミックを生きる構え」というイベントも開催しました。さまざまな情報が錯綜する今、我々はどういう心持ちで過ごせばよいのか、といったことを、藤原先生が歴史研究に基づいて語ってくださいました。
4月上旬に、初めてオンラインイベントを開催すると決まってから、次々とイベントの企画が出され、それがこのように次々と実行に移されていきました。私はそのスピード感にただただ圧倒されていました。一方、他のミシマ社メンバーたちは、それらのイベントを通じ、たしかな手ごたえを感じていました。「パソコンの画面越しでも、講師の方の熱量はしっかりと伝わっている!」「外出が出来ない中、一流の方の言葉をもとめている方々がたくさんいらっしゃる!」と。
後日、社内でオンライン配信に関するミーティングが開かれました。
そこで、オンライン配信を「ミシマ社ライブ(通称 MSLive!)」と名付け、今後は、書籍、みんなのミシマガジンと並んで、ひとつのメディアとして力を入れていくことが決まりました。ゆくゆくは曜日ごとに、(火曜日は子供向けの学びコンテンツ、水曜日は講師をお迎えしての連続講座、などというように)毎日なにかしらのコンテンツを配信していく予定です。
MSLive!始動します!
そして、MSLive!の1歩目が5月にスタートします! まずは、木村俊介さんの連続講座「本を読むということ」です。インタビュアーで、『インタビュー』『バンド』などの著者である木村さんに、本の読み方をテーマにお話しいただく全3回の連続講座です。この講座開催にあたっての木村さんの言葉の一部を以下に抜粋しました。(全文はこちらからご覧いただけます)(イベントの詳細・お申し込みはこちら)
その負荷が大きい時期にこそ、いったん、言葉だけで形成された静かな「本」の中の世界だけに入ってみて、いつもよりも本をゆっくり読んでみるやり方について伝えてみる。そのことで、精神的に温泉に浸かるような「体温」や「潤い」を渡すことにもなるのではないだろうか。
また、5月16日(土)には、『ボクは坊さん。』などでおなじみのご住職、白川密成さんの講座「坊さんの、ぼーっとする技術・初夏」が開催されます。今年の2月に発刊された『坊さん、ぼーっとする。』の実践編として、愛媛県の栄福寺から、密成さんにご講話いただきます。また、新緑美しい栄福寺の様子もお見せいただけるそうです。土曜日の朝10時からの講座です。密成さんと共に、気持ちのよい週末のスタートをお迎えしてみてはいかがでしょうか。
さらに、5月19日(火)には「学びの未来座談会」というイベントもオンラインで開催します。休校により学びの機会を奪われてしまった子供たちに対し、大人たちは何ができるのか? といったことを、独立研究者の森田真生さんと、高知県で独自に、新たな学びの場を提供している瀬戸昌宣さんのお二人に議論していただきます。
そして、森田真生さんの人気イベント「数学ブックトーク」も、青山ブックセンターさんにご協力いただき、5月31日(日)にオンラインで開催することとなりました。(詳細・お申し込みはこちら)
そのほかにも、さまざまなオンラインイベントを企画中です。確かな実感に基づいた、本物のことばを、本当に必要としている方々にお届けしていきます。私個人としても、みなさまが、思わず参加したくなるような、興味深いイベントの企画を出せるように精進します。ぜひ、今後のMSlive!にご期待ください!
編集部からのお知らせ
本文中で紹介したイベント一覧です!
5/13、20、27(すべて水)木村俊介さん「本を読むということ」
※第2回以降からのご参加も大歓迎です!その際は、第1回の録画動画をお渡しします。(5/14追記)
5/16(土)白川密成さん「坊さんの、ぼーっとする技術・初夏」
5/19(火)森田真生さん・瀬戸昌宣さん「学びの未来座談会」
5/31(日)森田真生さん「数学ブックトークin東京 番外編」